左京区で新規開業をお考えの先生方へ

はじめに

左京医師会は、地域住民の健康を守るために努力を惜しまない、熱意ある医師の開業を歓迎するとともに、介護保険サービスを含めた、地域医療連携を円滑かつ効率的に行うことを目指している医師会です。

 左京医師会に入会することにより、「京都府医師会」、「日本医師会」の会員になることができます。「日本医師会」、「京都府医師会」だけに入会することはできません。

各医師会に入会すると以下の特典、優遇が得られます。

左京医師会の役割

左京医師会は、各医療機関で診療を行うほか、地域住民の健康を守り維持していくことを第一と考え、地域の保健・医療・福祉などの事業に積極的に協力しています。

 地域医療の主な事業としては、以下のものがあります。

(1) 行政からの委託による各種予防接種(注1)
(2) 学校保健 (保育所の嘱託医、小・中・高等学校の学校医)
(3) 基本健康診査(集団健診および個別健診)、各種がん検診
(4) 介護保険の認定審査委員
(5) 産業保健の支援
(6) 在宅医療協力医登録制度
(7) 行政主催の催しへの参加
(8) 保険診療に関わる講習会の開催
(注1) 予防接種は医師会に入会しなくても接種は可能ですが、行政からの委託を受けずに施行する場合は、被接種者の負担控除が受けられず、被接種者の負担が多くなります。

 さらに行政のいろいろな審議会、委員会で提言しています。
 左京医師会では医療機関相互の更なる連携を深めるように努めるのみならず、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所(ケア・マネージャー)、介護サービス事業所等との連携も積極的に行っており、医療・介護両面での包括的なネットワーク作りに取り組んでいます。これらは「左京方式」と呼ばれ、医療介護の連携モデルとして、介護支援専門員の教科書にも取り上げられています。

左京区地域の現状

医療界を取り巻く環境は日に日に厳しさを増し、開業を考える場合も十分な下調べと準備が必要です。まず左京区地域における現状をお示しします。
【図1】都道府県(従業地)別にみた医療施設に従事する人口10万対医師数

図1は厚労省発表のデータです。京都は人口10万人当たり、約334.3名(全国3位)の医師がいることになり、全国平均の262.1名と比較し、徳島(335.7名)、高知(335.2名)とならび医師が多い府県ということがわかります。それでは左京地区ではどうでしょうか?

 左京区には京都大学医学部付属病院があり、そこで働く医師は1208名(2024年4月現在)です。また左京医師会の会員は325名(2025年3月現在)ですが、一般病院の勤務医も含まれています。これ以外にも医師会に所属しない医師も含めると約1600名もの医師が左京区で働いていることになります。また左京区の一般診療所数は180件(2020年国勢調査)、人口10万人あたりの施設数は108.41で、全国平均の69.83と比較し、圧倒的に診療所の数が多いことがよく分かります。同じ患者数を診療所数で割った場合を考えれば、全国平均と比較し左京区の各診療所の収入は約2/3ということになります。

【図2】左京医師会員の推移
【図3】京都市左京区周辺のクリニック
図3は京都府保険医協会が作成した左京区(京都市内中心地区)の医療機関分布図で すが、かなり医療機関が密集していることがお分かりになると思います。(但し表示されているのは保険医協会に入会している医療機関のみ。)
【図4】F医院の診療実績(毎年6月の受診者数、新患数、診療報酬)
図4は左京区で平成10年6月に開業されたF先生の医院での受診者数、新患数、診療報酬の現在までの推移です。各年の6月の数字をあげてあります。F先生の話によると、開業前の医療コンサルタントのデータでは、開業当初の予測受診者数は21名で、3年後には60名(1ヶ月25日診療したとして、1500名/月)の受診者があるという予測だったそうです。F先生の奥様は別の病院の副院長をされておられ、F先生は家計の心配はしなくてもよかったそうですが、院長給与を極端に抑えても診療所の経営は大変苦しく、開業後6年目にやっと単年度収支が黒字になったとのことです。診療報酬、受診者数は開業後10年~15年目がピークで、その後診療報酬、受診者数ともに徐々に減ってきています。原因としては、20年も経つと開業時に60歳の方も80歳に、70歳の方は90歳になり、亡くなられる方、大きなな病気にかかられ、家族の元へ引き取られたり、施設へ入所されたりする方などが徐々に増えてきたことと、4週間以上の投薬を希望される方が増えてきたことなどが挙げられます。2020年に急激な低下があったのは、ご存じの通り、新型コロナ感染症の流行のためで、2021年に急激に増えているのはワクチン接種が開始になり、接種希望者が押し寄せたことが原因です。また開業から20年を経過するといろいろな設備や医療機器のメンテナンスが必要となり、思わぬ出費が嵩むことも計算しておく必要があります。

 以上の状況をまとめますと、

(1) 京都府は全国でも有数の医師の多い府県であるが、左京区はその京都の中でも飛び抜けて医師が多い、医師過剰地域である。

(2)左京区近辺には京都大学医学部附属病院に加え、隣接する上京区にはほぼ同規模の京都府立医科大学附属病院、京都第二赤十字病院もあり、大病院志向の強い患者は開業医に受診するよりも、大学病院などの基幹病院を好んで受診する傾向がある。

(3)競合する医療機関が隣接するなどの状況も珍しくなく、レセプト件数、診療人数ともに他地区での開業と比べると不利な条件であるという現状があり、開業医でありながら他の病院や介護施設へアルバイトに行っている医師も少なくない。

ということになります。特に注意すべきは、開業してはみたが、予想外に患者数が少なく、十分な運転資金が確保できていなければ、経営が軌道に乗る前に廃業に追い込まれるという事態も十分に考えられるという点です。医療コンサルタントのアドバイスも大事ですが、必ず自分で状況を確認する必要があります。

 まず左京区で開業を考えられた方は、最近開業された左京医師会会員のところへ現状をお聞きになってみてはいかがでしょうか。そして不測の事態に備えて十分な(資金)準備をしておくことが必要です。

左京医師会に入会するには

 新規開業に伴う入会に際しては、できれば医療機関開設6ヶ月前までに当医師会にお問い合わせ頂き、必要な書類を提出して頂きます。(勤務医としての入会(B会員)は除きます。)
 提出して頂いた書類をもとに、審査、面談を行い、理事会で承認された時点で入会となります。入会が承認されないことはまずありません。ただ標榜科目、診療時間等については原則として規制はありませんが、地域住民の誤解を招きやすい標榜科目や、左京医師会の活動(おおむね1:30pm~4:30pm)に参加して頂くために支障のある診療時間等については、ご協力をお願いすることがあります。

お問い合わせ

一般社団法人 左京医師会事務局
〒606-0001 京都府京都市左京区岩倉大鷺町422番地
国立京都国際会館内
TEL : 075-701-1500  FAX : 075-701-1751